/ 制作ノート
ひとくちをつくる01 / 06
おいしかったものを、残す場所をつくる。
一皿も、パンも、手土産も。「ひとくち」をつくるときに、残しておきたかったもの。
振り返る時期:2026年9月の構想と制作
「ひとくち」というiPhoneアプリをつくっています。おいしかったものを写真やひとことで残し、次に食べたいものを見つけていくためのアプリです。9月にApp Storeでの配信が始まりました。ここでは機能の説明に加えて、つくる途中で何を考え、どこを変えてきたのかを書いておこうと思います。
開発の記録を読み返すと、最初の構想には、飲食店だけでなく、せんべい、パン、手土産も対象にする、とあります。この一行に、ひとくちで扱いたかったものがよく表れています。お店の名前だけでは収まらない、おいしかったものの記録です。
お店の中にある、一品まで。
同じお店でも、何を食べたかによって残したいことは変わります。一皿の料理のこともあれば、持ち帰ったお菓子のこともある。店名や場所に加えて、料理や商品の名前、写真、短い感想を置ける形にしました。お店と一品の両方を扱うことは、その後の「食べたい」の保存方法を考えるときにもつながっていきます。
構想の中では、点数よりも「好き」や「何がおいしいか」を重視していました。数値評価やランキングをどうするかは、その時点では未決定です。先に具体化したのは、何を食べて、どこがよかったかを残せること。その人の好みが見えるように、プロフィールに推しの3品を置く形もつくりました。

おすすめには、人のことも残る。
もう一つ、要件に入っていたのが「誰から聞いたか」というメモです。アプリを使っていない知り合いのことも、ニックネームで残せるようにしています。おすすめされた店や一品と、そのきっかけを自分の中で結びつけておくためのものです。
このメモは自分だけが見る情報として、共有する文章やカードには含めないようにしました。食べたものを人に見せたいことと、その周りの情報をすべて見せたいことは、別々に扱う必要があります。小さなメモ欄ですが、どこまでを記録し、どこからを共有するのか、という問いがここにもあります。
相談しながら、形を決める。
開発ではAIに相談しながら、考えていることを画面や操作に落とし込んできました。「一品を残したい」と言っても、何を入力するのか、写真がないときはどうするのか、あとで書き直せるのか、決めることが続きます。実装の案が出るたびに、それがどんな使い方になるのかを確かめていく作業でした。
初期の資料には、実装済みのものと、まだサンプルでしか動かないものが並んでいます。画面に表示されていることと、別の人と本当に共有できることも同じではありません。その違いを一つずつ埋めながら、配信まで進めました。
この制作を振り返るときは、出来上がった機能だけでなく、その前にあった問いも残しておきたいと思います。一品の名前は必須なのか。誰に見せるのか。気になったページをどう残すのか。ひとくちは、そうした小さな問いを具体的な形にしていく制作になっています。
次は、記録を始めるときの手間について。「写真だけでも、ひとことだけでも」という形にしたことを書きます。
Takuto / Slothful Studio
開発記録とAIとの相談履歴をもとに、制作の過程を振り返っています。